[REPORT]
第19回東京国際映画祭 
animecs TIFF 2006 スペシャル・シンポジウム
「サンライズ・エモーションスタジオにみる3Dアニメの現在形」



 10月29日(日)に六本木ヒルズで行われた、スペシャルシンポジウム。取り上げられたのは、『FREEDOM』と、『新SOS大東京探検隊』という、2本の3Dアニメ。会場では一部分上映されたが、どちらも、まるで手描きアニメのような質感に驚いた。どうしてこんな3Dアニメが作れたんだろう? まずは高木真司監督と森田修平監督の制作話から…。



■どうして「2Dアニメ的な3Dアニメ」を作ろうと思ったのか。

 『新SOS大東京探検隊』の高木真司監督は、セル画アニメの時代からアニメ制作に関わってきた人。『FREEDOM』の森田修平監督は、3DCGでデジタルアニメを作ってきた人。出発点が全く違う2人が「手描きの良さも取り込んだ2Dアニメ的な3Dアニメ」に行き着いたのは…?

高木真司/今回、制作手法に作画ではなく3Dを選んだ理由は、人数が少なくても制作可能だからです。最近はアニメの作品本数が増えてアニメーターの数が足りないんです。
 3DCGは硬い物を表現するのが得意なので、今まではロボットや車ばかりに使われていたけど、劇場アニメ『BLOOD THE LAST VAMPIRE』で3Dと手描きの融合を目指しているうちに、キャラクターも3Dでやっていけるんじゃないかなと思い始めました。キャラクターを3DCGで描けないのは、“スタイル”が確立されていないからじゃないかと…。
 現状では3DCGのキャラクターに演技をさせるのは、人間の動きをそのまま取り込むモーションキャプチャーに頼りがち。それはリアルな絵だけれど、ずっとアナログ時代からやっている私としては、大事な何かを忘れているような気がするんです。アニメではキャラの魅力が重要なのに、リアルさだけではアニメ特有の魅力的表情に欠けますし、細かすぎる影にも違和感を感じる。『新SOS大東京探検隊』では、そういった3DCGの欠点を踏まえた上で、特に顔の演技を丁寧に付けなくてはいけないなと考えました。そんな“スタイル”を確立するところから始めたんです。
 キャラの演技プランは、1度セリフのタイムシートを作ったあと、簡単な3Dモデルで制作したラフな映像を見ながら立てました。そうすることで、細やかな演技を付けられるのです。また、そうやって丁寧に作っていくうちに、打ち合わせの場でなくてもスタッフが「この歩き方は、キャラに合わない」とか、「こんな性格のキャラがこんな芝居しないよ」とか、自主的に話し始めて、みんなでキャラの演技をつけていった。集団作業の中で、キャラクターが一人歩きしていくのは、すごく面白い。
 私たちは長く手描きのアニメを作ってきたから、3Dのアニメのスタッフにも伝えていくべきことがたくさんあると思うので、それを伝えていきたいですね。



森田修平/3Dアニメ『KAKURENBO』を作った後、僕はずっとデジタルで作品を作ってきたから、デジタルの弱さを知っちゃっているんです。例えば、手描きの絵の力は凄くて、キャラクターの感情や微妙な表情のニュアンスを1枚の絵で表現できるけれど、同じことを3DCGでやるのは難しい。さらに、CGからアニメ業界に入ってきたスタッフは、アニメ制作の基礎を知らないんです。
 CGアニメの弱さを克服するために、スタッフにアニメの基礎から教えました。特にこだわったのは、レイアウト。3DCGで作っていると、「もっとカメラを動かしたい」とか「モデリングが格好いいからもっと見せたい」とか考えがち。だけど、作品として面白くするには演出が大切で、それをちゃんと表現するのがレイアウトだと考えました。CGのスタッフは、構図をおざなりにしがちだから、演出の片山一良さんにキャラの構図や感情・表情がわかるように、丁寧にコンテを描いてもらって、そしてアニメーターには、コンテ通りに映像を作ってもらったんです。また、キャラクターの演技がつけやすいように、先に仮アフレコを本番とは別の声優さんで収録しました。声があると、アニメーターがキャラの感情や動きを想像しやすくなるんです。
 あと、3Dは情報の整理が弱いんです。3Dアニメは秒間に30フレームあって全部動かせる。手描きのアニメは、秒間に12コマや8コマしか動いていないけど、どうすれば気持ちいい動きに見えるかとかの、ノウハウがある。そんな手描きアニメの面白さをスタッフに理解してもらい、CGだからといって、リアルにやるだけじゃ作品は面白くならないんだよ、ということをわかってもらいました。
 ちなみに、OPは実写と3Dを融合したもの。これは、アニメファンでない人が見た時に「なんだ、アニメか」と思ってチャンネルを変えられるのではなく、「何コレ!?」と驚いて本編を観てもらえるような、キャッチーなものにしたかったんです。

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